「散髪・爪切りが苦手 」への解決方法

聴覚過敏により散髪を嫌がる子への工夫

困りごとと解決方法の詳細

7歳の自閉症の息子です。『聴覚過敏』があり、特に耳元で鳴る音が苦手で、髪を切るときの「チョキチョキ」という音がとても嫌なようです。小さい頃(3歳頃)から美容室に行くのは難しく、自宅でのカットもなかなか大変でした。ただ、水遊びが好きで、シャワーを浴びるのはわりと得意だったため、思い切って「シャワーを浴びながら髪を切る」という方法を試してみました。最初はそれでも嫌がって全然切らせてくれなかったのですが、最近は「シャワーの音でごまかす」などの工夫をしてみたところ、少しずつ落ち着いて髪を切らせてくれるようになってきました。

今では、シャワーを流しながらだと、ほとんど嫌がらずにカットできるようになりました。毎回うまくいくとは限りませんが、「嫌がる理由を知って、その子に合った方法を探す」ってとても大事だなと感じています。

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専門家からのアドバイス

困りごと、なぜ?どうして?どうしたらいいの?

お子さんの散髪、苦労されている方が多いようです。今回ご紹介いただいたお子さんでは『聴覚過敏』とありますが、触れらることが苦手『触覚過敏』という方も多いようです。この背景にあるのが、『感覚統合』です。お子さんは生まれる前のお腹の中から各種感覚機能(皆さんが良く耳にする5感+α)が少しずつ発達していきます。ただし、生まれた後、最初から大人と同じように感覚機能が十分に働くかというとそうではなく、一般的に小学校中学年くらいまでに全ての感覚が思い通りに使えるようになる(このことを『感覚統合』と言います)ことが知られています。また、自閉症をはじめとした神経発達症の方では、その統合が十分に行われず、過敏や鈍感、という形で現れ、大人になっても影響を受ける方がいます。今回のお子さんでは、3歳の時には大変だったものの、7歳になり少しずつできることが増えている理由の一つに感覚が統合されてきていることも考えられます。ただ、最も大切なのは、ご家族が書かれていた「嫌がる理由を知って、その子に合った方法を探す」だと思います。

具体的にどんなことをしている?おススメ・役立ち情報は?

「嫌がる理由を知って、その子に合った方法を探す」、とても大切ですね。子どもの全ての対応に通じる言葉です。大人にとって、何でこんなことも出来ないの?と思うことが多々あると思います。『感覚統合』で少し触れましたが、子どもは生まれる前から少しずつ各種機能が発達していきますが、生まれた後の環境の影響を受けながら発達を続けていきます。『感覚」機能であれば10歳くらいまでは未熟なのです。今回、感覚の受け取り方で『過敏』という言葉が出てきましたが、『鈍感』な方もいます。 具体的な対応、今回の対応を”さすが!”の一言です。『苦手な活動(散髪)』を我慢させるではなく、『好きな活動(シャワー)と合わせて、注意を苦手な活動に向けない工夫』が成功したのだと思います。感覚が過敏なお子さんでは、他に、『触覚過敏』があり、ベタベタするものに触るのが苦手なお子さんでも、好きな活動(例えば、粉から作る小麦粉粘土、料理におけるハンバーグ作りのお手伝いなど)と組み合わせると過敏を感じず、少しずつ受け入れられるようになる方もいます。 無理強いせず、少しずつ、また、楽しい活動と組み合わせることが大切ですね。

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